2004 JOG ZRエボリューション 出前号
Bike / SA16J JOG-ZR Evolution
2004年式 JOG ZRエボリューション、出前に全振りしたらこうなった話
ボロボロのSA16J JOG-ZRエボリューションをもらったので、 懐かしさに浸る間もなく、ちゃんと走る・曲がる・止まる、 そして働ける実用品として起こしてみた記録です。
懐かしい10インチ原付を、ちゃんと使える方向へ戻す
今回やってきたのは、SA16JのJOG ZRエボリューション。 昔の足立の少年たちに相当かわいがられてきたのか、 もはや「原型って知ってる?」と聞きたくなるレベルまで育っていました。
でも、10インチの50ccって今見ると妙にグッとくるんです。 しかも今回は速さに全振りではなく、 暴力的な速さはいらない、ちゃんと使えることが正義という方向。 出前で使うならなおさらです。見栄より実用。汁物はロマンで守れません。
開けたらしっかり疲れていたので、逆に安心した
ちょっと見てみたら結構ひどい。いや、かなりひどい。 でもこういうのを見るとトキメくタイプなので問題ありません。 規制後のリモコンJOG系はほぼ触ったことがなかったものの、 キャブ口径やリードバルブあたりを除けば、だいたい共通でどうにかなりそう。
オイルでギトギト、エアクリスポンジも終了気味、 各部の汚れも外装もなかなかの仕上がり。 つまり一発で何かが直る個体ではなく、 全部をちゃんとやるしかないタイプでした。 そういうの、嫌いじゃないです。
まずは外装と基本整備。見た目より先に人間らしさを取り戻す
エアクリのスポンジは純正に交換、キャブもOH。 あちこちの汚れを落として、傷んだ外装はコピー品へ。 派手なことをする前に、 まずは普通に呼吸して普通に走れる状態に戻すのが先です。
カスタムって、盛ることだと思われがちですが、 実際はおかしな状態をひとつずつ正気に戻していく作業のほうが大半だったりします。 そしてそれが一番効く。
出前バイクに必要なのは、派手さより足まわりの安心感
リアサスはKN企画の265mm。 こういうパーツは派手な名前より、使って素直かどうかが大事です。 街乗りと出前用途なら、まずはこれで十分戦える。
フロントもKN企画のSTDサイズに、 NCYキャリパー、デイトナのパッド&シュー、 タイヤはIRC MBR740 サマースペシャル。 速さより安心、これが今回の正解です。
フロントフォークの動きは、正直そこまで上等ではない。 でもサーキットじゃないし、純正の高いやつに突っ込むとそれだけで結構な額になる。 なのでここは用途と予算のバランスで判断。 なんでもかんでも最高級にすれば偉いわけではないんです。
駆動系はだいぶ自由だったので、いったん会議をやり直す
駆動を開けてみると、 ボロボロのプーリーフェイスに、たぶんチャンバー前提っぽい玉、 さらにドリブンは多車種の3枚クラッチ物が丸ごと入っていて、 かなり“思想の混線”が起きていました。
そりゃ動きももっさりするし、クラッチも滑る。 ということで、もう気持ちよくフルOH。 純正は104mmの2枚クラッチですが、 補修クラッチとアウターでGロックも復活させつつ整理。 センタースプリングは純正、トルクカムはKN企画の3タイプ物で直線44度、 玉は純正7gベース、駆動系キットでワッシャー調整という流れです。
まだ詰める余地はあります。 KOSOクラッチにStage6アウターの線も見えてはいる。 ただ、全部を一気にやりすぎると 「今なにが良くて、なにがダメなのか」が分からなくなるので、そこはいったん保留。 大人のチューニングは、勢いだけじゃなく整理整頓も大事です。
見た目は純正風、中身は働く方向へ
マフラーはKN企画のノーマルタイプにZRカバーを合わせて、 なるべく純正風に。 ここでいかにも速そうな顔をさせる必要はありません。 今回の主役は“見せるバイク”ではなく、“使えるバイク”です。
しかも出前という過酷な現場に放り込む前提なので、 風防、ハンドガード、ナビ用の携帯ホルダーまで追加。 少年たちは絶対つけない装備かもしれませんが、 大人は知っています。冬と雨と業務は、気合いでは突破できないと。
我ながら不格好。でも、それがいい。 原付でカッコつけるより、 ちゃんと働いてくれるほうが100倍えらいです。
心臓部には、ちゃんと安心できるものを入れる
目標は、ちゃんと走って、曲がって、壊れない仕様。 ここでようやく高級品を投入する理由が出てきます。 心臓部分だけは雑にしたくない。 ということで、イタリア製品を使うことにしました。
採用したのはMalossi製50ccのシリンダー。 ポートは少し広がっている程度ですが、精度がいい。 パワーを誇示するより、安定して仕事してくれる感じです。 こういうところに妙なチャイナ系を入れて、 後から自分が泣く展開は避けたい。
説明書ベースで吸気を少し見直しつつ、 MJ70 / PJ43 から MJ74 / PJ46 へ。 スポンジは純正。 今後もう少しPJは薄くしてもよさそうですが、 まずはちゃんと走る土台を作るほうが先です。
メーターは中古のKITACO120kmメーターへ交換。 マニホールドのゴムも新品にして、 ギアベアリングも全部打ち直し。 ここまで来ると、もはや「やってないところはクランクくらい」というところまで到達。 触り始めると止まらないのは、たぶん性格です。
完成。最速ではない、でもたぶん一番ちょうどいい
こうして完成したのが、 速さだけを追ったバイクでもなく、 見た目だけを飾ったバイクでもない、 出前迅速 JOG ZRエボリューション。
ちゃんと走る。ちゃんと曲がる。ちゃんと止まる。 冬も雨も少しはマシ。荷物も意識している。 しかも、なんかちょっと変で味がある。 そういうバイクって、結局いちばん長く付き合えます。
所詮原付、なんて言い方もありますが、 原付だからこそ実用性の差がそのまま快適さになります。 カッコつけるのはあとでいい。 まずは働けること。そこにちょっと笑える違和感が混ざっていたら、もう最高です。
というわけで、かなりくたびれたSA16J JOG-ZRエボリューションを、 実用性全振りで起こしてみた話でした。
フルチューンの派手さはない。 でも、日常で本当に強いのはこういう仕様です。 速さ自慢ではなく、ちゃんと働く原付が好きな人には、 なかなか刺さる一台になったんじゃないかと思います。
2004年式 JOG ZRエボリューション、出前に全振りしたらこうなった話
ある日やってきたのは、「よくここまで原型を失えるな」というレベルまで育ちきった SA16J JOG-ZRエボリューション。
しかも2004年式。懐かしい。懐かしいけど、状態はまったく懐かしんでる場合じゃない。
ただ、こういうのってダメなほど燃える。
「速くしよう」じゃないんです。今回はそこじゃない。
目指したのは、ちゃんと走る・ちゃんと曲がる・ちゃんと止まる・そして働く。
つまり、見栄ではなく実用品として妙に本気な出前仕様です。
開けたら案の定、いや想像以上にお疲れだった
ちょっと様子を見るつもりで開けたら、はい、しっかり年季入り。
メーター読みで約25,000km。数字だけ見れば「頑張ったね」で済みますが、 中身を見ると「いや相当頑張ったなお前」と声をかけたくなるやつでした。
オイルでギトギト、吸気まわりもお疲れ、外装もそれなり、駆動系もなかなかの自由研究済み。
つまり、一か所直したら済む車両ではない。
でも逆に言えば、やることが明確で楽しい。
見た目を整えるだけでは意味がないので、足まわりから真面目にやる
今回のテーマは「暴力的な速さ」ではなく、実用で気持ちよく使えること。
なので優先順位ははっきりしていて、タイヤ、サスペンション、ブレーキ、このへんが先。
出前バイクに必要なのはロマンより安心感です。いやロマンも大事だけど、汁物こぼしたら負けなので。
リアサスはKN企画の265mm。
このへんは派手さより、ちゃんと働いてくれることが大事。実際、まずまずいい感じ。
フロントもKN企画のSTDサイズを使い、NCYキャリパー、デイトナのパッド&シュー、 さらにIRC MBR740 サマースペシャルを組み合わせ。
要するに、前に進む前にまず止まれという、ごく当たり前で大事な思想です。
フロントフォーク自体の動きは「最高」とは言いません。
でもここはサーキットではなく街。純正の高級品に突っ込む額を考えたら、 今回のテーマ的にはこれで十分。
何でもかんでも最高級にすればいいわけじゃない。予算と用途の勝負です。
駆動系は、前オーナーの自由すぎる発想をいったん落ち着かせる
駆動を開けたら、プーリーフェイスはボロ、ウェイトローラーはたぶん別方向の思想、 ドリブンは多車種の3枚クラッチ仕様、しかも重い。
その結果どうなるか。
当然、もっさりです。さらにクラッチも滑る。はい、気持ちよく全OH決定。
補修クラッチ、アウター、センタースプリング、トルクカム、ローラー、 そのへんをちゃんと整理して、余計な混乱をやめさせる方向に。
改造というより、会議が荒れていた職場に新しい店長を入れた感じです。
まだ試したい組み合わせはある。KOSOクラッチやStage6アウターに寄せる余地もある。
でも、なんでも一気にやると「今どれが正解でどれが地雷かわからない人」になるので、 そこはいったん保留。こういうのは冷静さが大事。
純正っぽく見せつつ、中身はちゃんと働くようにする
マフラーはKN企画のノーマルタイプにZRカバーを合わせて、見た目はなるべく純正風。
ここで急に「俺、速いです」みたいな顔をさせる必要はないんです。
今回の主役はあくまで仕事ができる原付。
派手さより、毎日普通に使えるほうが100倍えらい。
しかも出前仕様なので、風防、ハンドガード、ナビ用スマホホルダーまで装着。
若い頃なら「ダサい」と言っていた装備が、歳を重ねると「いやこれ便利すぎるだろ」に変わる。
人生、だいたいそう。
カッコよさより、防風と防雨と業務効率。大人は実用品に恋をするんです。
エンジンは“雑に盛る”ではなく、“ちゃんと使える安心感”を選ぶ
目標はあくまで壊れにくく、安定して使えること。
そこでシリンダーはMalossiの50ccシリンダーを採用。
いかにも「盛りました」ではなく、精度を信じて使うやつです。
心臓部に関しては、安さだけで選ぶとあとで自分が泣くので、そこは真面目に。
セッティングは、説明に合わせて吸気側を少し見直し。
MJ 70 / PJ 43 から、MJ 74 / PJ 46 へ。スポンジは純正。
このへんは「うおおお最速」みたいな話ではなく、ちゃんと使える落としどころ探しです。
実際、今後もう少しPJは薄くてもいいかもしれない。こういうのは組んで終わりじゃなく、走ってからが本番。
ついでにメーターも中古のKITACO 120kmメーターへ交換。
マニホールドのゴムも傷む前に交換。ギアベアリングも打ち直し。
ここまでくると、もはや「どこをやってないの?」という話ですが、クランク以外だいたい触ってる感じです。
完成。テーマは“仕事のできるちょい変な原付”
仕上がった姿は、決して流行りの方向ではないです。
でも、ちゃんと走る。ちゃんと曲がる。ちゃんと止まる。雨も風も多少耐える。荷物も意識してる。
そして何より、見た目がちょっと変。
それがいい。
原付なんて、カッコだけで乗るより、使ってナンボです。
しかも出前という過酷な現場に放り込むなら、なおさら。
変に尖らせず、でも退屈ではない。実用と趣味のちょうど真ん中。
そういうバランスの車両って、結局いちばん長く愛せる気がします。
というわけで、出前迅速 JOG ZRエボリューション、完成。
派手なフルチューンではないけれど、実際こういう仕様のほうが日常では圧倒的に強い。
そして何より、こういう「微妙にダサい実用品感」は、一周まわるとかなり味になります。
速さ自慢じゃなく、ちゃんと働く旧車系原付が好きな人には、かなり刺さる1台になりました。